製作者のノート



製作者 林 まさみつ 2005年7月28日 

製作者略歴
 
けはれ竹工房


食品衛生試験 2004年1月4日


食品衛生試験について


 箸には食品衛生法に基づき規格基準が定められています。
 もちろん箸だけではなく、食品用器具、容器包装はすべてです。
 1959年 厚生省告示第370号「第3 器具及び容器包装」です。
 食品に接触する器具や容器包装は有毒、有害な物質が含まれていたり、溶出したりしてはいけない。そのために健康を害する恐れがないように、というものです。
 材質別にセラミック製品(陶磁器、ガラス、ホウロウ引きなど)、金属製品(ステンレス、鉄、アルミニウムなど)、ゴム製品(天然ゴム、合成ゴムなど)、プラスチック製品、それぞれに規格基準が定められています。

 「えあま」の箸とスプーンの場合は竹や漆は食品衛生法の規制の対象になっていません。
 自然塗料や植物塗料も規格基準が定められていませんが、合成樹脂一般規格で試験を受けています。
 試験は、基準値以上にカドミウム、鉛が含まれていないか、重金属や有機化合物が溶出しないかという内容です。


食品衛生試験の問題点


 その後、新たな素材が開発されているが規格基準は当時(1959年)のままになっています。
 感度のよい測定法があるにもかかわらず、感度の悪い測定法が残されています。
 これまで安全とされてきた化学物質が、発がん性や環境ホルモン作用の疑惑が出てきました。
 しかし、科学的に十分な根拠がないために規制されていないなどの問題があります。
 「食品安全性セミナー7 器具・容器包装」※では、「食品衛生法の規格基準に合格しているということは決して免罪符にはならない。消費者、企業、公的機関において安全性についての検討が必要である。」と結んでいます。

 

※参考 中央法規出版株式会社  2002年5月15日発行

食品衛生試験を受ける・てんまつ記

 塗り箸の販売を始めるにあたって、食品衛生試験というものがあるということは知っていましたが、
それは具体的にどういうもので、どこでどう受ければいいのかまったく知識がありませんでした。
 そこでまず、A公的機関へ塗料メーカーの出している試験結果のデーターや成分表を持って相談に行きました。
そこには人体に無害であると書かれているので、初めは、問題ないということでした。しかし、試験を受けた機関が厚生労働省の指定した試験機関ではないということで、「無効である。」と言われました。それでBという県内の試験機関を紹介されそこで試験を受けるようにと言われました。
 B試験機関へ行くと、そこでは試験を行う自信が無いので県外のCかDという試験機関で相談してくださいと、再び紹介されました。Cでは話しが通じず、D機関で受けることになりました。

■「製品になった、箸を送ってください。」
○「わかりました。しかし、竹生地から出る有機物が影響しませんか?」
            (竹からの有機物ではなく、塗料からの有機物溶出が本来問題)
■「影響します。」
○「それでは試験を受ける意味が無いのでは?」
■「まあ、そうです。」
○「・・・?」

こんなやりとりで始まりましたが、それでも試験を受け基準値をクリアし、成績表が送られてきました。

○「成績表が届きました。これで安全ということですね。」
■「・・・そういうことではありません。ここはただ、依頼を受けた試験を、行うだけの機関です。」
○「では、どこで安全ですと、判定していただけるのですか。」
■「・・・そういう機関はどこにもないと思いますが。A公的機関で相談してください。」
○「わかりました。」

 再び最初に相談に行ったA公的機関へ相談
○「A公的機関ですか。試験受かりました。ここで安全性の判断を相談するように言われました。」
△「誰がそういうことを言いましたか。いいんじゃないですか。」
○「それでは安全であるという文書を発行して下さい。」
△「それはできません。そんなに心配しなくてもいいんじゃないですか。」
○「文書を下さい。」
△「そういうことはメーカーに言って下さい。塗料メーカーが一番詳しいですから。」
○「・・・・・・?」

 メーカーは初めから安全だと言っている。
 法的基準値が設けられていて、公的機関で試験を受け、合格しても安全性の証が発行されることはない。



炭化処理 2003年7月6日



 えあまの箸は、炭化処理をしていますので、少し茶色がかっています。(色合いにはバラつきがでます)
 炭化処理とは、簡単に言えば蒸し焼きです。正しくは高温高圧蒸気処理と言うそうです。
 これはもともと、茶色に着色する事が目的の技術なのですが、生産者は経験的に防虫や防カビに対して効果があると感じていました。
 大分県産業科学技術センターでは試験をしており、ある程度ではあるが防虫効果があると報告しています。

 一方、時々問題になる輸入の竹割り箸は白く漂白されています。そして有害な漂白剤が残留しているそうです。目的は防カビと漂白。日本人の好みに合わせて白い箸を作るのでしょうか?



箸に関する2つの問題 2002年12月18日


 箸には大きく分けて2つの問題があると思います。ひとつは割り箸に関する問題です。もうひとつは塗り箸に関する問題です。

 割り箸は90%以上が輸入で、そのほとんどが中国からだということです。木の割り箸は中国の砂漠化と関係がないとは言えません。竹の割り箸は防カビ剤処理されたものが輸入されているという問題があります。また、国内ではもともと間伐材などの未利用材を割り箸にしていたそうですが国内の割り箸工場は次々閉鎖されているという問題にもつながっています。
 意思を持って未利用材で作られた割り箸を使いたいものです。
 
 一方、塗り箸の問題は合成樹脂でコーティングされた塗り箸が多いことです。合成樹脂塗料は安全ではない有機溶剤が使われています。内分泌撹乱物質や有害性のある合成化学物質が使われています。合成樹脂塗料は丈夫で、美しく、使いやすく、安価というプラス面はたくさんありますが、安全性にかえられないと思います。
 せっかく自然素材の竹や木で作られた箸なのですから、無塗装か植物の塗料で保護された箸を使いたいものです。




竹について 2002年11月12日

 竹もまたアジアのものでこの国の風土に合った植物です。古くから生活の多くの場面で使われてきました。
 竹は成長が早く3年で材料として使え、切っても地下茎が生きているので又、生えてきます。効率の良い再生産可能資源です。
 竹は現代の生活では省みられる事が少なく、活用される機会も少なくなりましたが、環境問題を考えるならば竹の活用は重要だと思います。プラスチックの多用と海外からの木材輸入を減らして、利用されていない間伐材や竹をはじめ自然素材の活用は重要です。

 竹の箸(竹のカゴも)は安っぽいからといわれる方もありますが、それはカビが生えやすいというイメージと、ありふれたモノというイメージがあるからだと思います。竹製のものは高温多湿状態では、はじめはカビやすいことは確かですが、少し気を使っていただければ水回りで使っていくうちにカビは生えにくくなるものです。塗装でおぎなうこともひとつの方法です。
 「ありふれたもの」ということは見方を変えれば風土に合った身近な物ということです。
 食の世界で言う「身土不二」に通じるのではないでしょうか。
 「ありふれたものは」自然の恵みです。
 ありふれた物を使う事こそが自然環境への負荷を少なくする事であり、未来を奪わないことだと思います。


漆(#03シリーズ)について 2002年11月12日



 漆はうるしの木からとれる樹液です。東洋特有の塗料で石器・縄文時代にまで歴史はさかのぼります。自然塗料の中で最も優れた物だと思います。美しく、強く、耐久性があり、時間と共に透明度と硬度が増してきます。
 しかし漆にはカブレやすいという欠点があります。これも完全に乾燥すればそういうこともなくなります。もうひとつ漆には漆特有の褐色の色がありますので、生地を生かすクリアーな仕上げは不向きです。たとえば合成樹脂塗料のようなナチュラル感のある仕上げはできません。
 蛇足ですが市販の物で合成漆、人工漆、と表示されている物がありますが、これは漆ではありません。生地に合成樹脂(プラスチック)を使った物や下塗りに合成樹脂を塗った物もあります。



植物塗料(#02シリーズ)について



植物の油は乾性油という種類の物があります。エゴマ油、アマニ油、キリ油などが代表的なものです。
光や空気に反応して酸化重合化し、乾いていきます。乾くといっても大変時間がかかりますし、漆やウレタンのように硬化し、塗膜を作るという性質のものではなく、木や竹に染み込んで一体化する感じです。
えあまでは、植物油に乾燥剤や溶剤などを添加し製品化されたものを、自然塗料と呼び、添加されていないものを植物塗料と呼ぶことにしています。
ここではエゴマ油を使用しています。

自然塗料(#01シリーズ)について


天然系塗料とかエコ塗料という言い方もあります。
植物油をベースに天然のワックス、樹脂、乾燥剤、溶剤などで作られた塗料です。環境先進国ドイツから十数年前に国内に入ってきました。現在では国内でも作られるようになり、約20社のものが入手できるということです。
 その中から、箸の塗装に使えそうなもの、特徴のあるメーカーのものを6社選び、試験を続けてきました。その結果、安全性と塗料の強度を考慮してオスモカラー社のものを選択しました。また、食品衛生試験も独自に受けています


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